アイティフォーは「RITSミニPOS」と呼ぶモバイル型キャッシュレスPOSの開発および拡販に本腰を入れる。2019年10月1日に基幹システムを刷新した都内百貨店が初めて採用。決済における客の手間や待ち時間の減少、売場や外商、テナントの業務効率の改善といった成果を上げており、同業他社からの引き合いも多いため、新たにAndroidベースの決済ターミナルを「RITS(リッツ)」として標準化。供給体制を整える。

~月刊ストアーズレポート2024年1月号より~

月刊消費者信用2024年1月号表紙

百貨店と専門店の融合で起きる様々な問題を解決

開発に際しては、キャッスル・テクノロジー社が手掛けるAndroid OSを搭載した決済端末「SATURN(サターン)1000F2」を使用。Wi-FiやSIM通信、プリンタが内蔵され、どこででもクレジットカードから電子マネー、デビットカード、二次元バーコードまで様々な決済が可能なほか、5.5インチ、1280×720色のディスプレーは視認性に優れ、静電容量式タッチディスプレイは操作を容易にする。Android OS用のアプリケーションをインストールすれば、業務の幅を広げられるのも特長だ。費用は1台当たり据え置き型POSと比べ数分の1に過ぎない。あくまでもハードウエアのみの金額差だが、ソフトの分を加えても半分くらいには抑えられる。

 百貨店が導入するメリットについて、アイティフォーの事業本部事業推進一部の戸枝靖博氏は「売場や催事場、ギフトセンターなどでの面前決済、外商でのハウスカードによる決済、テナントの負担の軽減」を挙げる。

SATURN(サターン)1000F2

キャッスル・テクノロジー社の「サターン」を使用

例えば、今も多くの百貨店は販売員が支払い金額を計算して客をPOSレジに誘導するが、RITSミニPOSがあればその場で決済が可能。客の移動や待つ時間を減らせるだけでなく、POSレジの専従者は不要になり、人手が足りない売場などに充てられる。客にとっても、百貨店にとっても効率的だ。

 外商の担当者も助ける。売上げや返品の処理、ポイントや友の会、売掛などを含めたハウスカードでの決済、他社のクレジットカードでの決済、未決処理、入金や返金などが出先で可能だからだ。

RITSミニPOSは、お客様をお待たせしないスムーズな面前決済オペレーションを実現します。

近年は直営部分を縮小してテナントの比率を上げる百貨店が増加しているが、多くのテナントは自社のPOSレジを持ち込み、その横に百貨店のPOSレジを置いてハウスカードや商品券などに対応したり、日々の売上げや客数を百貨店のPOSレジに打ち込んだり、コストや業務の負担が大きい。戸枝氏は「RITSミニPOSに必要な機能を入れれば、いずれも解決する」と強調する。その上で「ゆくゆくは精算管理の機能も盛り込む。そうすれば、百貨店とテナントの契約が家賃だけでも家賃と売上げの一部でも家賃と光熱費でも、簡単かつ素早く精算できる」と、さらなる進化を誓う。百貨店と専門店の融合は加速していく情勢だけに、RITSミニPOSの重要度は一段と高まっていく。

マルチデバイス化に対応して商機を開拓

まさに「良いことずくめ」にもかかわらず、モバイル型POSは浸透していない。戸枝氏は「Android OSを搭載したスマートフォンやタブレット端末で決済ができてしまう時代で、開発する企業がほぼ姿を消した。以前に大手企業が供給したが、すぐに販売を終了した」と背景を説明する。アイティフォーはそれを商機と捉え、RITSミニPOSの拡販に乗り出す。

「今後はPOSのシステムがマルチデバイス化していく。1つのソフトが、どの端末でも使えるようになってきた。ゆえに、当社もマルチデバイス化を進めていく。そうすれば税制改革などがあっても、1つを直すだけで済む。百貨店業界でも、いずれ据え置き型は減り、他はRITSミニPOSが台頭する」

戸枝氏は予想する。今秋に地方百貨店で、来年も2月と3月に同じく地方百貨店でRITSが稼働。他にも複数社と商談中で、アイティフォーは百貨店の基幹システムを支える存在と言っても過言ではない。だからこそ、その予想の確度は高い。同社はRITSを「地方百貨店の共通インフラ」と位置付ける。RITSを軸に、RITSミニPOSという新たなソリューションも用意し、インフラとしての役割を全うする。

※当記事は、株式会社ストアーズ社の許諾を得て転載しています。
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掲載日:2023年12月28日