キャッシュレス決済ソリューション
お役立ち情報05 小売業者の使い勝手を追求した自社開発のマルチ決済端末
日経MOOK「実践!キャッシュレス決済」(日本経済新聞出版社 編)より転載
※当記事は、日本経済新聞出版社の許諾を得て転載しています。
掲載日:2020年3月9日
直感的に使える簡単な操作性にこだわり
小売業者にとってキャッシュレス決済の選択肢を広げることは、販売促進の観点で意義はあるが、システム投資やコストに見合った売り上げが得られるとは限らない。特に厳しい経営環境にある流通業界において、キャッシュレス決済への取り組みは悩ましい課題だ。
カード会社や決済代行会社とは異なる視点で、キャッシュレス決済への課題解決に主眼を置くのがシステムインテグレーターであるアイティフォーだ。その象徴的な商品が、マルチ決済端末「iRITSpay(アイ・リッツペイ)決済ターミナル」。様々なアクワイアラによる加盟店へのソリューション提供として広がっている多機能モデルだ。
最大の特徴はほぼすべてを自社調達、自社開発で製品化していること。ソフトウエアの版権を持つため、新たな決済手段への対応といった改良が必要な際にも、コストや期間が最小限で実現できる。操作性の良さも長年、POS開発などで店頭販売の事情を熟知する同社ならではのこだわりだ。「ITに疎い方であっても直感的に使えるようにしたかった」と語るのは、決済ビジネス部のシニアスペシャリストである望月忍氏。自身も流通業界の出身だ。
お客様をお待たせさせないよう簡単な操作性にとことんこだわりました。ファンクションキーを避けタッチパネルにし、設定の変更で確認工程をスキップできるなど素早い対応で商機を逃しません。バッテリー内蔵モデルならPOS台数が限られる百貨店やレストランでの面前決済も可能です」(望月氏)
多機能を1台に搭載するも安価に仕上げる工夫
「iRITSpay決済ターミナル」は、マルチなキャッシュレス決済を1台で実現する端末だ。非接触型を含めたクレジットカード、QRコード、デビットカード、電子マネーの主要ブランドすべてに対応する。マルチ決済端末には本体以外に備品を付属するタイプもある。PIN入力、電子マネー読み込み、コードスキャナー、プリンターが別口であるとそれだけレジ周りの空間が埋まってしまう。多機能を小さな1台に搭載したのも大きな特長だ。
同時に、他の国内メーカーと比べ「日本人独特のこだわりを排除し、安価に仕上げた」(望月氏)のもユニークだ。故障が付きまとうレシートのオートカッター機能は除外した。磁気ストライプもクレジットカードのIC化を意識し、デュアルヘッドではなくシングルヘッドになっている。
端末のハードを提供しているのは、世界でも指折りの決済端末メーカーである台湾のキャッスルテクノロジー社だ。国際標準のセキュリティ基準のPCIPTSに準拠したVEGA3000シリーズを採用した。同じシリーズによる他社端末が存在するため誤解されがちだが、中身のシステム設計が異なるため、まったく別物と捉えるべきだ。「躯体についても、細かい部分で私たちのリクエストが投影されています。当初の試作品と比べると、タッチパネルの位置やコードスキャナーの大きさ、PINボタンの押しやすさなど改良を加えたことがおわかりいただけます」(望月氏)
汎用性と拡張性の高いインターフェイスプログラム
加盟店に提供するアクワイアラとともに決めた仕様であり、汎用性と拡張性の高いインターフェイスプログラムになっているのも、この端末の特徴だ。「不必要に過剰な機能は省き、最大限の効果が期待できる最良の提案をしていただける」と決済ビジネス部の部長、相澤明則氏は説明する。POSとの連携もリファレンスガイドで容易に行え、事業展開に応じてカスタマイズできる作りになっている。
キャッシュレス決済を始めたものの運営が苦しいと訴える加盟店の"駆け込み寺"となっているケースは多いです。当社の決済端末は複数のゲートウェイと繋がっており、QRブランドでも3社のキャリアから選択できます。顧客層や決済ニーズなど想定する使い方によって解決策は異なり、また変化する課題に柔軟に対応するのもシステムインテグレーターとしての私たちに求められる役割です」(相澤氏)
アイティフォーではアクワイアラとの協働事業の他にも、様々な事業者向けにキャッシュレス決済に係るシステム構築の実績がある。例えば、「iRITSpay決済ターミナル」を活用し、決済情報を売上情報と切り離しクラウドで管理するサービスは、地方百貨店でも導入されている。大手ホテルチェーンでも、チェックインと連動した決済システムが2020年4月に稼働する予定だ。