延滞債権管理システム「TCS」、入金約束受付サービス「NYUS」

【導入事例】株式会社アプラス様

「TCS」「NYUS」導入で、延滞管理・督促業務の大幅な省力化・効率化が実現。回収率の向上に貢献

アプラス様はSBI新生銀行グループの一員であり、ショッピングクレジット、カード、ペイメントなどの事業を展開しています。2021年から2024年にかけて、アイティフォーの延滞債権管理システム「TCS」、コンタクトセンターシステム「Aspect」(Aspect Unified IP)、および入金約束受付サービス「NYUS」を順次導入。お客様に対する延滞管理・督促業務について、従来のシステムを全面的に更改されました。採用に至った経緯や目的、その効果などについて、管理部マネジャーの岡田禎博氏、システム開発部チーフマネジャーの水口邦彦氏、管理部次長の放生會友紀氏に聞きました。

<インタビューご出席者> ※肩書きは当時のものです。
  • 岡田禎博 氏 :アプラス 管理部マネジャー
  • 水口邦彦 氏 :アプラス システム開発部チーフマネジャー
  • 放生會友紀 氏 :アプラス 管理部次長
アプラス様受付風景

SMSで督促通知を送信、入金日を確約しコンビニで支払い完了

────現在の皆様の業務内容を教えてください。

岡田 私は管理部で回収戦略の立案を担当しています。例えば今回導入したTCSやNYUSなどの督促管理システムについて、複数のコレクション(回収)センターとやり取りしながら、どう効率的に運用するかといった、PDCAを確認するなどの役割をしています。

放生會 私も岡田と同じコレクションセンターを主管する管理部の所属です。システム構築業務のほか、督促状などのセンターの事務関連も担当しており、また、周辺システムについてもユーザー部として対応しています。

水口 システム開発部で、TCS、NYUS、Aspectなど督促管理システムの導入、運用保守、ならびに開発案件の対応などを行っています。また、それ以外のシステムの老朽化対応やシステム更改などのサポートも並行して担当しています。

────今回導入したシステムの概要をご説明ください。

岡田氏

岡田 まず2021年4月にTCS、その後2024年2月にNYUSとマイペイメント(スマートフォンによるコンビニ収納サービス)をセットで導入しました。お客様のスマートフォンにSMSで通知を送信し、入金予定日を回答していただいたうえで、コンビニでバーコードによる支払いができるシステムです。最近は土曜の配達がなくなるなど郵便物が届くのが遅くなり、お客様から早く連絡がほしいという要望がありました。また、引き落としできなかったお客様が、コンビニで手軽に入金できるようになり、利便性の向上にもつながったと思います。

実績による信頼性やカスタマイズ性の高さを評価

────当社のシステムを導入した経緯と、当時の課題を教えてください。

放生會 以前は別のベンダーのシステムを10年間ほど使用していました。2017年頃にシステム更改の話があって、2019年7月頃から要件定義が始まったと記憶しています。

水口 以前はインドのベンダーによる英語のシステムを使用していて、比較的導入費用は安かったのですが、品質の問題や障害の対応などで、結局運用保守コストが多くかかっていました。そういった経緯もあり、日本のベンダーを採用しパッケージを適宜カスタマイズしてつくる、という方針となりました。

岡田 旧システムには、プレディクティブダイヤラー(PD)という、リストを入れると延滞しているお客様に自動で架電(電話をかける)する機能がありましたが、結局オペレーターが必要なことが課題でした。そのため無人で架電できるロボティックコール機能の導入も、新システムに移行する大きな理由だったと思います。

────当社のシステムを採用した最も大きな理由は何でしょうか。

水口 前システムのベンダー、別の日本のベンダー、アイティフォー3社のコンペにより、TCS導入を決めました。選定理由の一つは、TCSとAspect(コンタクトセンター)の互換性で、前システムはコレクションとPDは別のベンダーのシステムを採用していました。これに対しアイティフォーは両方のシステムを持ち、運用保守や互換性などの面で使い勝手もよく信頼性も高い。また、アイティフォーは業界内でのシェアが高く実績もあり、顧客のさまざまな要望に応えて、どんなカスタマイズにもほぼ対応していただける点も、TCS採用の決定打になったと思います。


多くのカスタマイズを施す一方で運用テストに苦労

────その後2024年に導入したNYUSも含めて、特にカスタマイズを希望された点はどこでしょうか。

放生會 これまで支払いのご案内文書を発送するためには、以前のシステムでは一件ずつ手作業でリクエストして翌営業日に印刷会社にデータを伝送していました。その作業を効率化し、特定条件に当てはまるお客様ごとに一括発送する機能を加えていただくことで、1日で1万件超の処理が可能になりました。

岡田 ルールエンジンという安全制御機能も追加しました。例えばすでにお支払いすることを申出頂いているお客様や、代理人が介入しているお客様へは文書を発送したり、催促のお電話を差し上げることはできません。また、約束中のお客様に、催促の電話をしたり文書を送ったりすることもできません。ですので、そのようなお客様をリストから自動的に除外する機能をかなり時間をかけて作り込みました。

放生會氏

────新システム導入にあたって、苦労した点を教えてください。

水口 アイティフォーはどんな要望にも応えてくださる非常に前向きな会社で、こちらの希望を全部受け止めていただき感謝しています。当社は信販系の会社なので、カード会社などと比べて商品数がとても多いです。そのため、商品を全部網羅したかなりの回数のテストを実施する必要がありました。

放生會 システム化にあたり、文書のテンプレートを商品ごとに200帳票ぐらい用意する作業も大変でした。稼働直後にも問題が出てきた時期もありましたね。

水口 事前にユーザー受入テストも実施しましたが、カスタマイズの多さもあり、稼働してから分かった不具合がありました。しかし、それもスムーズに解決し、今はおかげさまで安定的に稼働しています。


業務効率化・コスト削減が実現、効果的な人員配置が可能に

────TCS、NYUS等の導入によって、どのような効果が得られましたか。

水口 もともとは作業効率化や、コスト削減が課題として挙がっていました。従来マニュアルで処理していた多くの部分を自動化することで、効率化によるコスト削減と工数低減につながったと思います。

岡田 お客様への架電を無人化することで、そのための人員は少なくなりました。さらに手の空いた人材を、オペレーター対応が必要な法人のお客様、専門知識が求められる商品の説明などにあてることで、人的リソースを効果的に活かせるようになりました。

放生會 督促状についてはシステムに実装された定型化したモノクロの書面ではお客様も見慣れてしまうので、センターで手作業で工夫して独自の文面を作っていましたが発送する前に宛先や内容に間違いがないかの目検作業に時間がかかっていました。TCSの導入によって、一括発送の機能が追加されましたが、色を加えた書面の作成も自動化され、効率化を図ることができました。

水口氏

────新システムに対するお客様の反応はいかがでしたか。

岡田 以前のロボットコールによる架電は自動音声の案内を好まない方もいました。そこでNYUSによって音声ではなく、SMSとWebサイト上で対応できるようにしました。

放生會 特に若いお客様はSMSを送った後に、抵抗なくアクセスしていただき入金を約束するなど、問題なく使っていただけているように感じています。

岡田 NYUSを入れたことで、お客様にも早めに対応していただき、こちらから有人で督促する件数が減りましたね。


これからもシステムをさらに進化させていきたい

────これからの予定や計画などがあれば教えてください。

岡田 引き続きシステムのカスタマイズをお願いしたい部分があります。まだ具体化していませんが、例えばお支払いの督促にチャット機能を追加して、お客様のお問い合わせ内容を分析して「NYUSにアクセスしてお支払いください」「こういう手続き方法があります」などと答えるものです。

水口 これからは紙による督促状も減らしていきます。郵便料金も値上げされましたし、TCSやNYUSを活用して、SMSによる督促にシフトするなど、会社として紙の使用を削減していく方向で動いています。

放生會 サステナビリティ推進の観点からも、紙の督促状を廃止する検討はしています。ただし、いきなり紙を全部廃止してしまうと、まだ抵抗を感じるお客様もいらっしゃると思うので、そこは注意深く検討しながら進めていきたいと考えています。

────当社に対する評価やご要望があればお聞かせください。

岡田 アイティフォーのエンジニアの方は、常に真面目にスピード感を持って取り組んでくださっていると日々感じています。

水口 そうですね、営業の方も含めシステム担当の方は、緊急のトラブルなども迅速に対応してくださるので大変感謝しています。

放生會 私も同じ意見で、いつも柔軟に対応していただき、とても信頼しています。また別のさまざまなサービスを、積極的にご提案いただくのも助かっています。

岡田 アプラスでは、アイティフォーの製品を数多く導入させていただいています。これからもいろいろとご相談することがあると思いますが、末永いお付き合いをよろしくお願いいたします。

集合写真
(インタビュアー・文/津田 潤)